ウェアの基礎知識講座③『撥水と防水 ~その2~』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座③です。

前回は『撥水と防水』についてお話しました。
前回のログはこちら。

前回は『撥水と防水は全く別物だけど、快適に着るには無関係ではない。』というところで終っておりましたので、今日はその続きです。

有り難い事に皆様からメンテナンスについての記事を早く見たい!!とメッセージを頂いておりますが、もう少しだけ撥水と防水の関係性のお話にお付き合い下さい。

これ、別に焦らしてる訳じゃなくてですね、この撥水と防水の関係性が理解できると、メンテナンスについての話がとってもスムーズに伝わります。

ということで本題です。

まず下の絵をご覧下さい。

これがレインウェアが正常に機能している状態です。
※3レイヤーの場合です。レイヤーの話はまた後日。3人のコスプレ好きの事じゃないです。

撥水基がその役割を果たして水を弾き、そしてメンブレンが水の浸入を防ぎながら内部の水蒸気を外に逃がしています。

それでは次の絵を見てもらいましょう。

これは撥水がダメになったレインウェアの状態です。

前回もお話しましたが、もう一回言います。
撥水と防水は別物です。

この絵を見てもらうとわかる通り、撥水が無くなってもメンブレンが水の浸入を防いでいるので防水性は保たれています。

では正常な時と何が違うのか?

それは表地が水を吸っている事。
さらに詳しく言えば、表地が水を吸ってレインウェアの表面に水の壁を作っている事。

実はこれが快適にレインウェアを着る上で大問題になるんですよ!!

もう一度絵を見てみましょう。


正常な状態だと内部の水蒸気が外に排出されていますが、撥水がなくなり、表地が水を含んで壁ができると…


水の壁に邪魔されて外に出れなくなっちゃった!!!!
これはつまり、透湿機能が著しく低下するということを意味します。

透湿機能が低下すると起きる現象が『再結露』です。
とても簡単に説明すると、『再結露』とは一旦水蒸気になった水分がもう一度水分に戻る事です。

つまり透湿機能が低下すると、体から発生した水蒸気が外に排出されず、ウェア内部で再度水分に戻ってしまうのです。

要するに…

めっちゃ蒸れます。
酷いと再結露で中ビチョビチョです。

そんな状態は当然快適とは程遠い状態…

しかも更に!!

表地が水分を含むと体温の低下、そしてそれによる体力の消耗に繋がります。

物理か化学の授業を思い出してください。(私は文系なんで物理か化学かは記憶が曖昧…)

隣り合う物質は『同じ温度になろうとする性質』があります。

撥水の無くなったレインウェアの場合、体と隣り合う物質(レインウェア越しですが)は水分です。
人間の体温が約36℃、ウェアが含んだ水の温度が15℃としましょう。

隣り合う物質は同じ温度になろうとします。
36℃と15℃が同じ温度になるのは約25℃です。
つまり体からは10℃分の熱が奪われようとします。
※細かい計算とかはわからないのでツッコマないで下さい。

つまり単純に寒いです。

そして人間は恒温動物なので10℃分の熱が奪われたからといって、体温が25℃になる事はありません。
ありませんが、その10℃分の熱を補う為にエネルギーを消費します。

つまり体力を消耗します。

ね、もはや快適とは程遠いでしょ。

そして再結露と体温を奪われる事で…
『冷たっ!!あっ、湿ってるし!!レインウェア(ウェーダー)漏れてきたよ~!!!!!』
という勘違いが起きる事も。
(もちろん実際に傷が入って漏水している事もあります。)

ということで撥水は防水と関係ないけれど、とても重要な役割を果たしている事がおわかりいただけたと思います。

そんな撥水ですが、ダメになる原因は何なのか?
それは…汚れと摩擦です。

汚れや摩擦によって撥水基が倒れてしまうと撥水しなくなります。
摩擦の話はややこしいんで後日するとして、まずは汚れ。

泥汚れ、ホコリ、潮汚れ、コマセ…etcとにかく汚れ撥水の敵です。
なのでレインウェアやウェーダーはちゃんとこまめに洗って下さい。

毎度洗濯しろとはいいませんが、せめて真水で流すくらいはやった方がいいです。(後日説明しますが、日陰でしっかり乾かして下さいね。)

そして、洗濯を繰り返すうちに段々と撥水がなくなってきますが安心して下さい。
復活の儀式がありますので。

ちょっと今日は長くなってきたので、復活の儀式のお話は次回という事にしましょう。

あと最後に余談ですが、『塩の結晶が目詰まりしてダメになる』という話を耳にする事があります。

これ、100%嘘です。

メンブレンは多孔質構造なので穴は開いてますが、その穴は水蒸気は通しますが、水分は通しません。
水蒸気=分子ですから、メチャメチャ小さい穴です。

そんな穴に塩の結晶が詰まるなんてことはまずありえません。

塩の結晶を洗い流さなかった事により、撥水機能が低下してレインウェアの性能が低下することはありますが、ダメにはなりませんし、お手入れすれば復活します。

次回はその辺もお話します。

それでは今日はこの辺で。

 

 

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ウェアの基礎知識講座②『撥水と防水 ~その1~』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

前回からスタートしました『ウェアの基礎知識講座』。
第一回目『レインウェアって何?』はこちら

第二回目の今回は『撥水と防水』について。

今回こちらをテーマに選んだ理由は、『撥水と防水』を正しく理解していただく事が今後のお話をスムーズに進める為の重要事項だからです。
※『耐水』という言葉もありますが、ここでは釣り具用ウェアで一般的に広く使われる『防水』という言葉で話を進めます。

『撥水と防水』。
言葉の響き的にも字面的にも良く似ていますが、実はまったく別のお話です。

こちらの言葉そのものの意味は…

撥水:布、紙などが表面で水を弾く事。

防水:水の浸入を防ぐ事。

説明が簡単過ぎてわかりにくいですが注目する部分は、『(水を)弾く事』『(水の)浸入を防ぐ事』という部分です。

つまり、すご~く乱暴に言うと『撥水』は『水は弾く。でも水が浸入しないとは言ってない』という事であって、『防水』は『水は浸入しないけど、弾くかどうかは別問題』という事です。

わかりにくいですね~w

特に撥水はその効果の結果、水が浸入しない事もあるので防水と混同してしまう事が多くあります。

ここからはもっとわかりやすく説明していきます。

前回登場したメンブレン(防水透湿膜)やPU(ポリウレタン)、ゴム、PVCなんかは『防水』であり、そのもの自体が水の浸入を防いでいます。

大袈裟に言えば、この防水性能は素材に傷が入ったり、穴が開いたりしない限りは維持できますので、水が浸入する事はありません。
※耐水圧等の条件は無視して話しています。

また洗濯や汚れによって『防水』性能が低下する事もありません。
※洗濯や汚れによる生地の劣化は無視して話しています。

次に『撥水』です。

ウェアにおいての撥水は基本的に『撥水加工』の事になります。

『加工』と言う言葉からもわかる通り、撥水は紙や布、布もナイロンやコットン等々、定着しやすいしにくいの差はあれど色々な物に施す事ができます。

その仕組みは詳細に話すと科学的な本1冊書ける位の難しい話なので、簡単に説明します。

撥水とは『撥水基』という微細な分子が布等の上にびっしりと敷き詰められ、『撥水層』を作り出すことにより起こります。
この撥水基に水が触れた際に、水の表面張力を利用して水の浸入を防いで(弾いて)います。

つまり撥水加工は基本後付けです。

そして撥水加工は摩擦や汚れで撥水基が倒れてしまうと、その効果を失います。

効果を失うと、加工が施されている物自体は防水とは限りませんので水が浸入してきます。
また、効果が失われていなくても、大量の水にさらされたり、水中に長い時間置いておくと水が浸入してくる事もあります。

これから撥水と防水の違いのとてもわかりやすい例を挙げます。

皆様のレインウェア、最初は雨が降っても水を弾いていたのに、使っていくうちに弾かなくなり、雨が降ると表地に水が染み込み表面の色が変わる程になってしまう。

こんな事はありませんか?

これ、まさに撥水加工の効果が切れている状態です。
撥水が切れているので、表地のナイロンが水を吸って濡れてしまい、表面の色が変わってしまいます。

でもですね、この状態で雨は内部に浸入してきますか?
してこないですよね。

つまり防水性能は変わってないという事です。

おわかりいただけましたでしょうか?

撥水と防水は全く別物なんです!!

余談ですがよく『防水スプレー』という文字を目にしますが、ほとんどの場合『撥水スプレー』が正解です。

靴や革製品に使っても水は弾くけれども、それそのものは防水にはなりませんよね?

撥水の強弱や持続性に差があり、一時的に水が浸入しなくなるかもしれませんが、撥水は撥水です。

さて、先程全く別物と申しました撥水と防水。

ウェアを快適に着ていただくにはとても密接な関係であります。

別物だけど無関係ではない。

これも『撥水と防水』の関係性です。

今日も長くなってしまったので、この話はまた次回という事で。

それでは今日はこの辺で。

 

 

 

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ウェアの基礎知識講座①『レインウェアって何?』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

今日からスタートします『ウェアの基礎知識講座』。

こちらは、ウェアについての基礎的な知識や専門用語の解説を行い、皆様がウェア類を選ぶ際の参考になればという企画です。

第一回目のテーマは『レインウェアって何?』です。

日頃釣行の際に着ていただいているレインウェア。
雨やしぶき等の水の浸入を防ぎ、体や衣服が濡れるのを防いでくれる存在です。

この何気なく着ているレインウェアですが、結局レインウェアって何なのか?
そこからご説明していきたいと思います。

レインウェアには当然、防水の生地が使われていますが一口に防水の生地と言ってもその種類は様々です。

代表的なところでいえば、防水透湿生地、ゴム、ビニール、PU(ポリウレタン)、PVC、ターポリン、こんな感じですね。

わかりやすく言えば、ビニール製の代表はコンビニ等で売ってあるいわゆる『カッパ』といわれるもの。
ゴムやPU製の代表は船釣りをされる方にはお馴染みの通称『漁師カッパ』。
PVCはウェーダーなんかに。
ターポリンはウェーダーバッグや防水バッグ、ポーチなんかに使用されています。

そして防水透湿生地は、『ゴアテックス』に代表される『水の浸入を防ぎながら内部の水蒸気を外部へ排出する機能』を持ったメンブレン(防水透湿膜)を使用したウェアで、弊社の『BRETH SHED(ブレスシェード)』もこれにあたります。


※メンブレンの素材や製法、耐水圧や透湿性能は各社それぞれ違いがありますが、ここでは『メンブレンを使用した生地』という種類でくくってお話を進めます。

釣具業界でレインウェアの素材と使用されているものは防水透湿生地とゴム、PU製がほとんどかと思います。
ですので、この2つの素材の特徴をご説明しようと思いますが、その前に話をスムーズに進める為の簡単な用語説明を。

防水…水そのものの進入を防ぐ事。

透湿…(布などを)『水蒸気』が通り抜けること。
※防水、透湿共に『撥水』と『通気性』というよく混同して使われる言葉がありますが、これの違いについての解説はまた別の機会に。

まずゴム、PUの特徴ですが、これは生地自体に防水性能があり単一の素材で水の浸入を防ぐ事が可能です。
また『編み物』、『織物』ではありませんので水分が染み込む事もありません。

なのでその特性を活かし、コマセや魚のヌルや血がついても水で洗い流せばすぐに汚れが落ちるので船のエサ釣りなんかで良く使われます。
お手入れも真水で流して終了ですので簡単です。

しかし、欠点として『透湿性』がゼロですので内部の水蒸気は出て行きません。

つまり…蒸れます。

ただ、先程も述べたようなメリットもあるので私自身も船のコマセ釣りなんかの時は防水透湿生地のレインウェアの上から着用してコマセの汁なんかがレインウェアに染み込む事を防ぐのに使ったりしています。

続いて防水透湿生地の特徴ですが、まさに読んで字の如く『水の進入を防ぎ、透湿性を持つ』ことが最大の特徴です。

ウェア内部の水蒸気を外部に排出しますので、蒸れにくく、快適に釣りをする事ができます。

これを可能にしているのが『メンブレン(防水透湿膜)』の存在です。

メンブレンはざっくりと説明すると、多孔質構造(穴が開いている構造)の布のようなものですが、この穴の大きさが『水は通れないけど、水蒸気は通れる』という大きさで出来ています。

なので『水の浸入を防ぎ、内部の水蒸気を外に排出する』という事が可能になります。

ただ、この細かい穴も穴が開いていることには変わりなく、とんでもない圧力をかけ、限界を超えると水が浸入してしまうことがあり、その限界値のことを『耐水圧』と呼びます。
※耐水圧は各社様々ですが、釣りができるレベルの降雨のみで耐水圧の限界を超える事はほとんどありません。

また、このメンブレンは傷がつくとそこから浸水してしまうので、これ単体では生地として使用する事ができません。
なので基本的には表地と裏地とラミネートすることで生地として使用します。
※この項目も別の機会に詳しくお話します。

この生地ですが、ゴムやPUと違って表地と裏地の種類や、ラミネートする方法により、出来上がる生地としての特徴が大きく変わるので目的や用途に合わせた仕様に細かく対応できるのも特徴の一つです。

欠点としては適切なお手入れをしないと性能を維持できない事ですね。

しかしながらゴムやPUと比べ、着心地も圧倒的に良いですし、ウェアとして表現できる事が多いので(用途に合わせた特徴、着心地の追求、デザイン性やカラーの表現…etc)、レインウェアといえばこの防水透湿生地を使ったもののことを指す事が多いと思います。

とまあ、とてもざっくりとお話を進めましたがレインウェアの基本的な構造はおわかりいただけましたでしょうか?

これからこの『ウェアの基礎知識講座』では知ってるようでよく知らないウェアのアレコレや、専門用語の解説をおこなっていきますので、是非ともご覧いただいて、皆様ウェア選びの参考にしていただければと思います。

それでは今日はこの辺で。

 

 

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