『防寒の性能に直結!!中綿のアレコレ!!』

 

皆様こんにちは、シミズです。

秋の気持ちいい天気が続くと思いきや、やはり冬は来るようです…。

急に寒くなると『防寒ウェア』をクローゼットから引っ張り出してみたくなります。
そこで本日は防寒ウェアの『中綿』についての過去ログをお届けします♪

今回のテーマは『防寒ウェアの中綿』。

中綿の話を少しやりたいと思います。
基礎知識講座なので、極限まで突っ込んだ話はやりませんけどね。

前提として、安い中綿のウェアが良いとかダメとかじゃなくて、あくまで『中綿の性能がどう違うか?』という判断基準になればと思っての内容ですので、皆様が防寒ウェアをご購入される際の目安にしてもらえればと思います。

ということで本題ですが、防寒ウェアにおいてその防寒性能の大部分を占めるのが『中綿』です。
暖かい『だけ』でよければ、とにかく中綿を大量に入れればその分暖かくなります。

でも、それではモコモコで動きにくいですし、重たいし動いたら動いたで暑くてどうにもなりません。
質の悪い中綿だと吸湿性や発散性も低いので不快極まりないです。『暖かく快適に』アクティビティを楽しむ為の性能な訳です。

で、その中綿ですが、大まかに言うと天然素材と化学繊維の2種類があります。
(混合もありますが、素材の話なので大まかに2種類とします。)

天然素材の代表は皆様お馴染みのダウンです。

ダウンの特徴は

・保温性が高い
・軽量コンパクト
・高い吸湿性と発散性

です。

ダウンは水鳥の羽毛ですので、その羽毛の間に大量の空気を含みます。
空気は熱を通しにくいので、断熱効果が高く保温性に優れます。
そして素材として吸湿性と発散性に優れているので、衣服内の蒸れを軽減し、快適に保ちます。

そして軽量・コンパクトです。
ダウンは空気を沢山含んでいますので、体積の割に非常に軽量です。
なので同じ『量』を中綿として使用すれば、当然軽くなりますし、空気を含んでいるという事は、ギュッと押さえれば空気が抜けてコンパクトになります。
ギュッと押さえた後でも元に戻る柔軟性もダウンの特徴ですね

よくダウンの品質を評価するものに『フィルパワー』という言葉を耳にしますが、これは『ダウンの体積』を表すもので、1oz(28g)あたりの体積が多いほど高品質のダウンと言われます。
つまり同重量で『かさ』が多いほど沢山の空気を含んでおり、断熱性も高く、軽量でコンパクトになるので、より高品質って事ですね。

ただ、ダウンには一つ欠点があります。

それは『水濡れ』

ダウンはその吸湿性の高さから水に濡れると一気に水分を吸収してしぼみ、空気を貯め込むことが出来なくなります。
そうするとダウンの性能が一気に低下します。
なので雨や雪の日なんかはアウターに着るのは本当はオススメしません。

雨や雪の日はミドラーとしての着用がオススメです。
ちょっと長くなりましたが天然素材であるダウンの特徴はこんな感じです。

続いて化学繊維です。

化学繊維(以下、化繊)は実は色々な素材メーカーから色々な性能のものが出ているので特徴は様々です。

良く目にするもので3M社のTHINSULATE(シンサレート)インヴィスタ社のTHERUMOLITE(サーモライト)、あとはプリマロフトとかですね。

色々特徴がある中で確実に言えるのが、化繊の中綿はダウンの弱点であった『水濡れ』に対しての耐性を謳っているものがほとんどです。

共通して言えるのはダウンの性能に『濡れても保温性を損なわない』という性能をプラスしたようなイメージです。
あと、化繊は洗濯等のお手入れが楽!!
(だからと言って化繊がダウンを凌駕するものかと言われるとそういう訳でもないところが難しいところ。)

で、化繊に関しては上記にあるような我々の中で『ブランド綿』と言われるものと、ブランド綿の性能に近づけて作ってあるけれどもノーブランドの『ローカル』というものが存在します。
(ローカルは他の部材に対しても良く使われます。)

最近はローカルの綿の品質も随分と上がっていますが、現時点ではやはりブランド綿の性能と信頼性の方が高いですね。
そして当然ながらローカルの綿にも品質の良し悪しがあり、これも値段に比例します。
ブランド綿に迫るような品質の物から、ため息が出るような粗悪品まで色々あります(笑)

以上の事から防水防寒ウェアに使用されている中綿は基本的には『化繊』です。

防水って事は雨や雪でも使用する訳ですから、わざわざ水濡れに弱い素材を中綿にするメリットは少ないです。
(素材的だけでなく、加工の手間やリスク、コスト的にも)

で、化繊の中綿も基本的に性能(快適性)に比例して値段が上がります。
そして保温性が高かったり、吸湿・発散性が高かったり、発熱してみたりとその性能はや特徴は様々ですが、その特徴を生かせるように製品自体を作ります。

例えば、ルアーフィッシングは常に動きのある釣りですから動きやすいに越したことはないので、より暖かく薄く作りたいですし、逆に動きが少ないヘラ釣りやワカサギ釣りは中綿を多くして断熱・保温性を最優先に考えます。

こう言った具合で釣り物や釣りをする温度で防寒ウェアに必要な条件は大きく変わってきます。
当然、ご予算でも。

良い中綿を使ってある防寒ウェアを使えばより『快適に』に釣りが出来るのは事実です。
(プロダクトレベルじゃなく素材としていう意味で。)

あとは皆様の中での『自分的にウェアに必要な性能』と『ウェアに掛けてもよいなと思う予算』のバランスではないかと思います。

色々知ってもらった上で、ご自分のお好みのものを選んでいただく。これが良いんじゃないかと思います。
(本当は『体験』までできればベストですけどね。)

メンテナンスに関してのログも近々再アップ致します♪

 

 

 

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過去ログダイジェスト『ウェアのお手入れ ウェーダー編』

 

皆様こんにちは!!

過去ログダイジェスト、本日はウェーダーのお手入れ方法のログを集めてみました!!

その透湿ウェーダー、本当に透湿性を発揮できてますか?

ウェアよりもさらに忘れられがちなウェーダーのお手入れ。
特に透湿タイプはお手入れ次第で発揮される性能も寿命も全然変わってきます。

一度もやったことない!!という方は是非ともやってみて下さい!!

【ウェーダーのお手入れ記事】

ウェアの基礎知識講座⑥『ウェーダーの透湿と撥水の関係性』

ウェアの基礎知識講座28『渓流禁漁目前!!ウェーダーは収納前にお手入れを!!』

ウェアの基礎知識講座⑮『家までは?裏は?釣行後のウェーダーってどうするの? ~その①~』

ウェアの基礎知識講座⑯『家までは?裏は?釣行後のウェーダーってどうするの? ~その②~』

そしてウェーダーについても番外編です!!↓

ウェアの基礎知識講座⑨『ウェーダーの下穿きにジーパンはNG』

是非ご参考にされて下さい!!
それでは今日はこの辺で。

 

 

 

 

 

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過去ログダイジェスト『エイガードについて!!』

 

皆様こんにちは!!

今回のお話はこちら。

『エイガードについて』

水温も上がり、色々な生物の動きが活発になる時期ですが、そうなると当然エイさん達も元気になります。

特に5月下旬~6月頃は産卵期も重なり浅瀬でかなりの数のエイに遭遇する事も。

という事でここで改めてエイガード(弊社の正式名称は『レイガードⅡ』)のお話を再掲載致しますのでどうぞご覧下さいm(__)m

あと、何かと悪者扱いされるエイですが、エイにはエイの生活がある訳で、それがたまたま我々が釣りするエリアと重なってるだけなんでね。
エイにも優しくしてあげて下さいね(笑)

という事で本文はこちら!!↓

秋も深まり、干潟のウェーディングも最盛期に向かって着々と言った感じですね。

そんな折ですが、エイの被害で世間がにわかに騒がしくなっておりますね。


SAC-029 レイガードⅡ
価格:56000円 税
素材:スペクトラ繊維
製品ページはこちら

ということで6月に掲載した『エイガードのアレコレ』のログを再アップすると共に、あらためてインナーソックスタイプのエイガードの注意点についてお話したいと思います。

ということで、まずは前回の記事から。

・ウェアの基礎知識講座⑫『徹底解説!!エイガードのアレコレ~その①~』
※エイガードがエイの毒針の侵入を防ぐ記事はこちら。

・ウェアの基礎知識講座⑬『徹底解説!!エイガードのアレコレ~その②~』
※エイガードの素材についてはこちらの記事です。

ウェアの基礎知識講座⑭『徹底解説!!エイガードのアレコレ~その③~』
※サイズ感等についてはこちらの記事です。

細かい事は記事を見ていただくとして、インナーソックスタイプは毒針の進入を繊維の強度と、その摩擦によって防いでいます。
※防弾チョッキなんかも同じ仕組みです。

鉄板とかで、カッキーンと跳ね返してるわけではありません。

なので、刺さる角度等の条件によっては先端部分が数mm~1cm程度エイガードを貫通すると言う事は、可能性としてはある事です。
なので、『被害を軽減』と表現しています。

ただ、先日被害に遭われた際の画像を見ると、防御の仕組みの問題よりも『素材の劣化』を疑う必要性が大いにあると思います。

あらためて上記その②の内容を抜粋します。

以下、抜粋↓

まずですが、現在釣り具市場で販売されているインナーソックスタイプ(ウェーダーの中に履くタイプ)には下記の3種類の素材が使われていると思います。

・スペクトラ
・ケブラー
・ノーメックス

この3種類です。
ちなみに上にも書いてある通り弊社のレイガードⅡはスペクトラ繊維を使用しています。

ではそれぞれの素材の特性を解説していきましょう。

まず、この3種類の素材はさらに大きく分けると『高強度ポリエチレン』『アラミド繊維』の2つにわかれますので、それで話を進めます。

まずは生産業者の方からのメールを原文のまま記載します。

・高強度ポリエチレン(スペクトラ繊維)
耐切創性が高く切れにくい、耐熱性(120℃融点)は低い。
比重は軽く水に浮く、耐水性に強く、吸湿度による劣化発生しない。
紫外線での繊維劣化は少なく「野外での船外係留ロープ」でも使われる。

要約すると、耐水性が強く紫外線劣化も少ないので、多目的に使うことができる。
もちろん耐用年数はあるが、吸湿性がないので強度が落ちない。

耐熱性が低いので「消防などには不向きである」が警察や警備などの防護服には向いている。

繰り返し洗濯が可能で、劣化も少なく耐用年数も長い。

ただしアラミド繊維よりも高価。

・アラミド繊維(ケブラー、ノーメックス)
耐切創性が高く切れにくい、耐熱性(430℃発火点)が高い。
比重は重く、耐水性が弱く、紫外線での繊維劣化が著しい。

要約すると、耐火性能が高いので「消防関係」で多く使用されるが、水に濡れると切創強度が落ちる特性がある。

紫外線での経年変化が顕著で野外で半年ほど使用すると「紫外線劣化」により繊維強度の危険水準に至る。

洗濯もできず、吸湿効果で自然劣化する。

耐用年数も使用方法で異なりますが、最大でスペクトラ繊維の半分くらいと言われています。

ただしスペクトラ繊維よりも安価。

ちょっとわかりにくい部分もありますので、さらに要約します。

・高強度ポリエチレン(スペクトラ繊維)
耐切創性:高い 耐熱性:低い(120℃融点)
比重:軽い
耐水性:高い(吸水、吸湿による劣化なし)
耐紫外線:高い(繊維劣化が少ない)
洗濯:可能
価格:高価

メリット
耐水性が高く、吸水、吸湿もないので保管時の湿気や使用時の汗や水濡れでの強度劣化がない。
また、洗濯も可能。
紫外線での劣化及び強度変化も少ないので初期性能を長く維持できる。

デメリット
素材自体が高価なため、製品がアラミド繊維のものに比べると高価になる。

・アラミド繊維(ケブラー、ノーメックス)
耐切創性:高い 耐熱性:高い(430℃発火点)
比重:重い
耐水性:低い(吸水、吸湿による劣化あり)
耐紫外線:低い(著しい繊維劣化あり)
洗濯:不可
価格:安価

メリット
素材自体がスペクトラ繊維より安価なので、製品自体も安価にできる。

デメリット
吸水、吸湿、紫外線による劣化があるので耐用年数が短い。
また、保管時も吸湿や紫外線による劣化があるので保管方法にも注意が必要。
※ノーメックスは生地が柔らかく生地目(繊維の目)が広がりやすいので設定強度に到達させるのに複数枚重ねる必要があるので、製品の厚みが増す。

とまあ、こういう感じの特性になります。

スペクトラ繊維は長持ちするけど高価。
アラミド繊維は安価だけど耐用年数が短い。

あくまでこれは選択肢であり、どっちを選ばれるかはユーザー様それぞれの事情や考え方次第だと思います。
(当然弊社としては価格よりもいざと言う時の安心感で、発売当初よりスペクトラ繊維を使用し続けています)

そして現在アラミド繊維を使用したエイガードを使用している方は以下の点に注意して下さい。

・なるべく水分や紫外線の影響の少ない場所で保管する。
・絶対に洗濯や水洗いはしない
・外や紫外線の当たる場所に干さない
・購入後しばらくたったら買換える
(アラミド繊維自体の耐用年数は使用状況にもよりますが最大2年~3年と言われています。)

抜粋ここまで。

はい、ということで画像に写りこんでいるエイガードの外観から推測するに、恐らく『アラミド繊維』を使用したタイプです。

発売時期から考えても耐用年数を迎えていたことは十二分に考える事ができます。

何故そんな事を思ったかと言うと、正直あそこまで派手に穴が開いているレイガード(弊社のエイガードの正式名)は見た事が無いですし、10年程販売していますが、社内で把握している限りユーザー様からも大きな穴が開いたというようなご報告はいただいた事がありません。
(あくまで把握している範囲ですが…)

なので、やはり劣化の線が疑われるなと思った訳です。

今まで耐用年数の話はされてこなかったので、妄信的に『エイガードをしているから大丈夫』、『エイガードで被害が軽減できた』と思っている方がほとんどだと思います。

しかし、劣化した素材に本来の強度はありません。

実はその被害、防げたんじゃ…という可能性もあります。

言っておきますが、アラミド繊維が悪いと言う話ではないですよ。

耐用年数があるんで、そこをしっかり把握していただく事が大事ですと言うお話です。
アラミド繊維系は最低でも2~3年に一回程度の買い替えが必要だと言う事です。
(その分製品単価はスペクトラ製より安いです)

ちなみに、スペクトラ繊維だって永久的な素材ではないので、耐用年数はあります。

そのあたりを上にも出てきた『生産業者の方』に確認したところ、下記のような返信がきたので、原文のまま掲載します。

こちら↓

いつもお世話になっております。

回答です。
基本10年程度は変質することは無いと聞いております。
スペクトラ繊維自体に吸湿性が無いので劣化する要素が無いためです。

ただ、『耐用年数は?』と聞かれれば5年程度とお答えしています。

それは、防弾パネルにも使われている繊維なので、便宜上5年を目安に交換が望ましいという基準を設定していることが理由です。
*防弾パネルは5年が耐用年数で交換されるためです。

結論から言えば、5年以上問題はないのですが、どこかで線引きしたほうが良いので目安にして頂ければ幸いです。

本文ここまで。

ということだそうです。

スペクトラ繊維は耐用年数5年~10年です。

発売当初にご購入いただいた方はそろそろ…という感じですね。

という事で、今話題のエイガードの話を再掲載しました。

エイガードに限らず、殆どの道具は永久的に使えるという事はありません。
あったにしても高額すぎて釣具に導入する事はほぼ不可能だと思います。

竿にしろ、リールにしろ、ルアーにしろですし、それこそ車やテレビ、家そのものだって耐用年数があります。
大事に使えば長持ちする事もあるし、雑に使えばそれなりの寿命を迎えます。
(使わない事で劣化していくものもあります)

安全対策は何事も過信せずに行いたいですね。

それでは今日はこの辺で。

 

 

 

 

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