ウェアの基礎知識講座⑬『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その②~』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座⑬です。
今回は『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その②~』をお送りします。

前回はエイガードが必要な理由と防御の仕組みをお送りしました。
※前回のログはこちら

そして今回は『エイガードに使用されている素材の種類とその特性、価格差等について』をお送りしたいと思います。

最初に言っておきますが、この内容は他社批判をするものではありません。

ちゃんとそれぞれの素材に対する説明が乏しく、また原料の詳細をネット等で調べても素材の発売元自体がメリットしか記載していないので良くわからないというお問合せにお答えする記事です。

今回の素材の詳しい特性は弊社レイガードを生産している国内業者の方、つまり『素材のプロ』に内容を確認して記載しております。

各素材のメリット、デメリットを正しく理解し、エイガードご購入の際のご参考になればと思います。


SAC-029 レイガードⅡ
価格:56000円+税
素材:スペクトラ繊維
製品ページはこちら

まずですが、現在釣り具市場で販売されているインナーソックスタイプ(ウェーダーの中に履くタイプ)には下記の3種類の素材が使われていると思います。

・スペクトラ
・ケブラー
・ノーメックス

この3種類です。
ちなみに上にも書いてある通り弊社のレイガードⅡはスペクトラ繊維を使用しています。

ではそれぞれの素材の特性を解説していきましょう。

まず、この3種類の素材はさらに大きく分けると『高強度ポリエチレン』『アラミド繊維』の2つにわかれますので、それで話を進めます。

まずは生産業者の方からのメールを原文のまま記載します。

・高強度ポリエチレン(スペクトラ繊維)
耐切創性が高く切れにくい、耐熱性(120℃融点)は低い。
比重は軽く水に浮く、耐水性に強く、吸湿度による劣化発生しない。
紫外線での繊維劣化は少なく「野外での船外係留ロープ」でも使われる。

要約すると、耐水性が強く紫外線劣化も少ないので、多目的に使うことができる。
もちろん耐用年数はあるが、吸湿性がないので強度が落ちない。

耐熱性が低いので「消防などには不向きである」が警察や警備などの防護服には向いている。

繰り返し洗濯が可能で、劣化も少なく耐用年数も長い。

ただしアラミド繊維よりも高価。

・アラミド繊維(ケブラー、ノーメックス)
耐切創性が高く切れにくい、耐熱性(430℃発火点)が高い。
比重は重く、耐水性が弱く、紫外線での繊維劣化が著しい。

要約すると、耐火性能が高いので「消防関係」で多く使用されるが、水に濡れると切創強度が落ちる特性がある。

紫外線での経年変化が顕著で野外で半年ほど使用すると「紫外線劣化」により繊維強度の危険水準に至る。

洗濯もできず、吸湿効果で自然劣化する。

耐用年数も使用方法で異なりますが、最大でスペクトラ繊維の半分くらいと言われています。

ただしスペクトラ繊維よりも安価。

ちょっとわかりにくい部分もありますので、さらに要約します。

・高強度ポリエチレン(スペクトラ繊維)
耐切創性:高い 耐熱性:低い(120℃融点)
比重:軽い
耐水性:高い(吸水、吸湿による劣化なし)
耐紫外線:高い(繊維劣化が少ない)
洗濯:可能
価格:高価

メリット
耐水性が高く、吸水、吸湿もないので保管時の湿気や使用時の汗や水濡れでの強度劣化がない。
また、洗濯も可能。
紫外線での劣化及び強度変化も少ないので初期性能を長く維持できる。

デメリット
素材自体が高価なため、製品がアラミド繊維のものに比べると高価になる。

・アラミド繊維(ケブラー、ノーメックス)
耐切創性:高い 耐熱性:高い(430℃発火点)
比重:重い
耐水性:低い(吸水、吸湿による劣化あり)
耐紫外線:低い(著しい繊維劣化あり)
洗濯:不可
価格:安価

メリット
素材自体がスペクトラ繊維より安価なので、製品自体も安価にできる。

デメリット
吸水、吸湿、紫外線による劣化があるので耐用年数が短い。
また、保管時も吸湿や紫外線による劣化があるので保管方法にも注意が必要。
※ノーメックスは生地が柔らかく生地目(繊維の目)が広がりやすいので設定強度に到達させるのに複数枚重ねる必要があるので、製品の厚みが増す。

とまあ、こういう感じの特性になります。

スペクトラ繊維は長持ちするけど高価。
アラミド繊維は安価だけど耐用年数が短い。

あくまでこれは選択肢であり、どっちを選ばれるかはユーザー様それぞれの事情や考え方次第だと思います。
(当然弊社としては価格よりもいざと言う時の安心感で、発売当初よりスペクトラ繊維を使用し続けています)

弊社の製品がスペクトラ製で56000円で、ケブラー製やノーメックス製は大体30000円台後半くらい。
どちらも安くはないですが、それでも20000円近い価格差があります。

『さすがに56000円は高いな…』となって何も履かずにエイの生息エリアでウェーディングするよりは、買換えは必要ですがアラミド繊維のタイプを着用していただいた方が絶対にいいです。

前回お話しましたがノーガードが一番ダメです。

そして現在アラミド繊維を使用したエイガードを使用している方は以下の点に注意して下さい。

・なるべく水分や紫外線の影響の少ない場所で保管する。
・絶対に洗濯や水洗いはしない
・外や紫外線の当たる場所に干さない
・購入後しばらくたったら買換える
(アラミド繊維自体の耐用年数は使用状況にもよりますが最大2年~3年と言われています。)

昨年、『エイガードしてたけどエイに刺された時に少し刺さった』という記事を見かけましたが、前回もお話した通りエイガードの防御の仕組み上、時折針先が生地を貫通してしまうことがあります。

がしかし、その見かけた記事で被害にあわれていた方が履いていたエイガードはアラミド繊維製(ケブラー製)。
その製品の発売時期が4年くらい前だと思いますので、正直に言えば劣化で初期性能が失われていた可能性も十二分に考えられます。

あらためて言いますが、アラミド繊維がダメとかそういう事ではなく、素材の特性を正しく理解していただく事が最大の目的です。

安全、確実な装備で楽しく安全にウェーディングを楽しみましょう♪

次回は『エイガードのサイズ選びや装着時のウェーダーサイズ、履く事によって生まれるメリット』についてのお話をお伝えします。

それでは今日はこの辺で。

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ライフジャケットの着用義務範囲の拡大について。

 

皆様こんにちは!!
コジマです。皆様、ご存知でしょうか?最近、巷で話題になっております

『ライフジャケットの着用義務範囲の拡大』

最近SNS等でも取り上げられていますので、目にした方も多いと思います。

ただですね、どうにも詳細がわかりにくいという事でユーザー様、小売店様から沢山のご質問を頂きますので、ここでお知らせさせていただきます。

ちなみにこの法律、とても簡潔に申しますと

『2018年2月1日より全ての小型船舶の乗船者にライフジャケットの着用を義務化する』
(実際に処罰されるのは2022年2月1日より)

という法律です。
詳しくはこちら(国土交通省HP)

これに伴い、遊漁船では国土交通省認可モデルのライフジャケット(救命胴衣)を着用していないと(船長が)処罰の対象になります。
※2018/1/30追記:国土交通省認可モデルのType-A(水域によってはDも可)の救命胴衣が適応モデルとなります。

ちなみに国土交通省認可モデルというのはこちらの通称『さくらマーク』が付いているモデルです。


出典:国土交通省HPより

で、皆様よりご質問頂くのは

このマークが付いてないものは使えないの?
おかっぱりは…?
渡船は…?

です。

この点に関して窓口である高階救命胴衣社にあらためて確認したところ、まず一つ。

現時点でおかっぱりにはこの法律は適用されません。

義務ではないですが、もちろん安全対策として着用する事を前提としての話ですが、おかっぱりに関しては国土交通省認定モデルでないライフジャケットでも処罰の対象にはなりません。

つまり、コンプリートⅣ等のゲームベストも継続してお使い頂けます。

そして一旦船に乗る渡船ですが

この法律は適用されません。

沖堤、沖磯ともに国土交通省認可モデルでないライフジャケットでも処罰の対象にはなりません。
※ライフジャケット自体の着用は義務ですので沖堤、沖磯で着用していない場合、処罰の対象になる事もあります。

という事で、おかっぱりと渡船利用での沖堤、沖磯等での釣行は『さくらマーク』無しでもちゃんと浮力が確保されているものであれば問題はありません。

そして、『このマークが付いてないと使えないの?』というご質問に対しては

船釣りで使われるのであれば、付いていないと処罰の対象になります。

今回の法改正は『小型船舶乗船者の』ライフジャケット着用義務範囲拡大ですので、船で釣りをされる方は対象になります。

2018年2月1日からの施行ですが、認知期間が4年間ありますので実質処罰されるのは2022年2月1日からになりますので、船やボートで釣りをされる方は、それまでに認定モデルへの移行を行って下さい。

今回の法改正は小型船舶を対象としたものでしたが、それに係わらず釣行の際は必ずライフジャケットの着用をお願い致します。

処罰の対象じゃないから着用しなくていいという事ではありませんからね!!

着用時の生存率は確実に非着用時よりもアップします。

釣りが楽しい遊びであり続けられるように、必ずライフジャケットは着用しましょう!!

 

 

 

 

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ウェアの基礎知識講座⑫『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その①~』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座⑫です。
今回は『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その1~』をお送りします。

前回までの内容とガラッと変わりますが、近年その被害報告も増え、だいぶ着用への意識が高まってきた『エイガード』に関してインナーソックスタイプのパイオニアである弊社が徹底解説致します。

今回はエイガードが必要な理由とレイガードの防御の仕組みをご説明します。


SAC-029 レイガードⅡ
価格:56000円+税
素材:スペクトラ繊維
製品ページはこちら

(弊社の正式商品名はエイガードではなく『レイガード』です)

何回かに渡って解説していきますが、まず皆様にお伝えしたいしたい事は

絶対に着用して下さい!!!!
何より無防備でウェーディングすることは絶対避けて欲しい!!!!

という事です。

解説の中で素材の違いや価格の違いを説明していきますが、いずれもインナータイプのエイガードは割りと高価です。
弊社のタイプにいたってはハイエンドクラスのロッドやリールと変わらないくらいの金額です。

ただ、弊社のモデルに限らず『高いから着用しない』という流れだけは避けていただきたいんです。

現在市場には様々メリット・デメリットはあるものの、様々な種類の『エイガード』が存在します。
割と安価なモデルもあります。

被害の軽減と言う部分を考えれば、とにかく着用していただく事が大前提です。

高額になる理由や素材による価格、性能差は後々説明しますが、フローティングベスト同様に安全対策の一環としてウェーディングを楽しむ皆様には絶対に着用していただきたいと思っています。

安全面もですが、『釣りしててエイに刺されたんでしばらく会社休みます』って言えないでしょ?

ということで解説に入っていきましょう。

まずですね、そもそも何故エイガード(話を進めやすいのでこの名前で進めていきます)が必要なのか?

ウェーディングできる釣り場、特に干潟や河口部には『アカエイ』が多く生息しています。
このアカエイは尻尾に毒針を持っており、これで攻撃する事で餌を獲ったり自分の身を守っています。

簡潔に言えばこの毒針の威力がハンパないんです。

この映像を見て下さい。

実際にアカエイから採取した毒針を弊社のウェーダーのラバーブーツに刺している映像ですが、いとも簡単に貫通しています。

しかもこの針はノコギリ状になっており、刺されればその傷の断面がガタガタになるので治りも遅いです。
(ネットで『エイ 毒針』と検索すれば画像が出てきますので気になる方は検索してみて下さい)

ちなみに刺されるとこんな感じになります。

そして何より厄介なのが、この画像にも書いてある通りこの針には『毒』が含まれており、それが傷の直りを更に遅くするだけではなく、アナフィラキシーショック等により重篤な症状、最悪死に至る事もあるという事です。

また、刺された際の痛みは『焼いた五寸釘をグリグリとねじ込まれるような痛み』と形容され、その痛みの為に刺された時に痛みのショックで失神する方もいるようです。

実際にイベントで聞いた話は、『多摩川の河口でウェーディング中に、少し離れてた場所でやってる人がしゃがんだまま2~30分動かないから見に行ったら、エイに刺されて失神していた。』なんて話もありました。

失神したまま潮が満ちてきたら…

だいぶ恐怖ですね…

刺された際の傷もエイの大きさや刺される場所にもよりますが、刺され所が悪いとアキレス腱や靭帯を損傷する事もあります。

これまた実際に刺された方の話だと、その方は茨城の那珂川の河口で刺され、針がふくらはぎ下部を貫通(横方向に)したそうです。

この方の場合、まず完全に血が止まるまでに2週間。(押すとジワジワと血と膿がでる。)
傷口が塞がるのに1ヵ月。
完治までに1年を要したそうです。

ノコギリ状の毒針で刺されると、傷口も荒れ、おまけに毒の影響で本当に治るのに時間が掛かるそうです。

という事で、安心して釣りをする為にはこの毒針からの防衛策が必要になるわけです。

で、今回はこのエイガードが毒針を防いでいる仕組みを解説します。

良くエイガードは、鉄板のように毒針の攻撃をカキーンっと弾き返しているとイメージされている事が多いんですが…

そうではありません。

レイガード(ここからは弊社製品のお話です)は『スペクトラ』という繊維で出来ています。
この繊維は『高強度ポリエチレン』という素材で、極々簡単に説明すると、メチャメチャ強い繊維です。
(素材の特性等の詳しいお話は次回以降で)

ちなみに、このスペクトラ繊維は防弾チョッキや耐刃素材として工業用・作業用グローブとして使用されています。
(防弾チョッキとかは糸の太さも生地を重ねる枚数もレイガードの比ではないくらいに多いですが)

で、レイガードⅡ(Ⅰもです)はその繊維で作った織物です。

要は普通の織物なんかと作りはほぼ同じですが、その糸がメチャメチャ強いと言う訳です。

刃物が布に進入していく時、下の画像のような状態から刃物が繊維を切り裂きながら進入していきます。

この時、繊維が強靭で切り裂かれないと刃物の進入はここで止まります。

それがレイガードの防御の仕組みです。
(防弾チョッキなんかの仕組みもこう言う事です。跳ね返しているのではなく、強靭な繊維との摩擦で進入を防いでいます)

ただ、ここでご注意頂きたいのは良く見ると刃の先端部分出ていますよね?
織物なので『目』がありますので、目より刃物が細ければ正直こういう状態になってしまう事は無きにしもあらずです。
(例えば縫い針は貫通します。)

ただ、エイの針よりレイガードの目が大きいということはほとんど無いと思います。

また、針の進入角度によっては少し切っ先(針先)が進入してしまう事はあります。
(進入角度が直角に近いほど進入する力が逃げにくいので、貫通力が増します。)
※スペクトラ以外の素材では劣化の可能性もありますが、それは次回以降で。

これが『100%の防御ではなく、被害の軽減』と表現している理由です。

とはいえ、弊社ではくるぶしより下の部分は2枚のスペクトラ繊維の生地目をクロスさせて重ねる事と、ふくらはぎ部分にスペクトラの樹脂板を入れることで可能な限り毒針が進入しにくいような作りにはしています。


黒いテープ部分からつま先よりが生地2重になってます。


ファスナーを開けると樹脂板が挿入されています。

千枚通しで思いっ切りレイガードだけを刺しても5~8mmくらいの進入で止まります。

と言う感じで、今回はエイガードが必要な理由とレイガードの防御の仕組みをご説明いたしました。

次回は『エイガードに使用されている素材の種類とその特性、価格差等について』をお送りしたいと思います。

長くなってきたので今日はこの辺で。

 

 

 

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