ウェアの基礎知識講座⑥『ウェーダーの透湿と撥水の関係性』

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座⑥です。
前回は撥水復活の儀式のお話をしました。
※前回のログはこちら

そして今回は『ウェーダーの透湿と撥水の関係』についてです。

透湿と撥水シリーズの番外編とでも申しましょうか。
ただ、この話は透湿素材を採用したウェーダーの話であって、非透湿のPVCウェーダーにはあてはまりませんのでご注意を。

以前、撥水が切れるとウェアの表面に水の壁ができて透湿性が落ちますよ~っという話をしたと思います。
※そのログはこちら

水の壁ができると透湿性が落ちる…

あれ?ウェーダーって水の中に入ってないっけ?
じゃあ、ウェーダーの透湿素材って意味無くない?

そう思った方。
いいとこに気が付きましたね。

水中に入る際に使うウェーダー。
水の中に入っている部分は透湿素材の意味が無いのか?

透湿素材の意味はあります!!!!

そう、水に入っている部分でも透湿性は発揮されているんです。
でも条件がありまして。

それは撥水が効いている事。

撥水は撥水基という分子の働きで水と表地が直接触れ合わないようになっています。

触れ合わないという事はつまり、表地と水の間には極々僅かですが隙間が空いている事になります。
(要は撥水基分の隙間ですね。)

はい、勘の良い方は気が付きましたね。

そう、その隙間から水蒸気が抜けてるんです!!

絵に描くとこんな感じです。

いや、ほんと私もこれ知った時は驚きましたよ。
なんちゅうメカニズム。
考えた人凄いです、本当に。

で、今回これで終わりじゃないですよ。

撥水が効いてるから透湿性が発揮できるという事は、撥水が切れたらダメだって事ですね。

レインウェアと同様にウェーダーも使っていると表地に水が染みて色が変わってきますよね。
もちろんこの時点で中に水は浸入していません。

でも表地が濡れているという事は、透湿性が失われ、再結露が起きてしまう状態だという事になります。

こんな経験はございませんか?

最近ウェダー履くとやたら中が濡れてるんだよな~
靴下とか股のとことか濡れてるんだけど、水漏れの検査してもどこも漏れてないんだよな~…

これ、再結露の可能性大です。

人間、想像以上の汗をかいています。
昔CMで『人は寝ている間にコップ1杯の汗をかく』なんてのもありました。

個人差ありますが、寝ているだけでコップ1杯。
ウェーダー履いて歩けばもっと出るでしょう。

その水分が再結露でウェーダー内に戻ってくれば、『漏水してる!!』と思ってもおかしくはないですね。

つまりウェーダーもレインウェア同様に撥水の維持、復活が快適に使用する為のキーポイントなんですね。

なのでウェーダーも日頃のメンテナンスは欠かせません。

当然、洗濯機で洗うわけにも乾燥機にかけるわけにもいきませんので少し工夫は必要ですので、ここでは私が実践している方法を参考までにご紹介します。

まず洗う段階ですが、基本的には短時間しか使用していないときは釣行後に真水で洗い流します。
で、ちょっと撥水が切れてきてるかな~っと思ったら乾燥後に撥水スプレーを使用して撥水を復活させます。


ZAC-952 リバイベックス インスタントウォータープルーフィング 1600円
※製品ページはこちら。

これはブーツタイプもソックスタイプも同様です。

そして本格的なメンテナンスの場合ですが、基本的にはレインウェア同様に

汚れを落す→撥水を復活させる→熱処理

という流れです。

んで、汚れを落す際は洗濯機の代わりにウェア用洗剤、もしくは中性洗剤をつけた柔らかいスポンジで軽く洗います。

そしてしっかりすすいだら、こちら↓

ZAC-957 リバイベックス デュラブルウォータープルーフィング
2000円 ※製品ページはこちら

濡れている状態でデュラブルウォータープルーフィングを満遍なく吹き付けます。

その後しっかり乾燥させ、ソックスタイプは当て布をしてアイロン掛けします。
※方法は前回ログを参照下さい。

ブーツタイプの場合、大体のご家庭では室内でアイロン掛けを行うと家族から非難の的になると思いますが、場所が確保できれば行って下さい。

不可能ならばドライヤー。

電気代や騒音によりそれも許可が出ない場合は、デュラブルウォータープルーフィングスプレーではなく、乾燥させた状態でインスタントウォータープルーフィング(撥水スプレー)で処理しましょう。

こうする事で、より長く快適にウェーダーを使用する事ができるはずです。

思ったより長くなって自分でも驚いているので、今日はこの辺で。

次回はまた原点に戻って用語解説。
『透湿性と通気性の違い』についてお話しようかと思います。

それでは。

 

 

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濡れるほどにグリップするグローブって?

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はグローブのお話。

弊社のグローブのグリップ部には独自のグリップ素材を採用しているのが最大の特徴です。
(立体裁断とか何とかは言うまでも無く採用してます。)

そのグリップ素材の名は

『New Power Grip(ニューパワーグリップ)』

です。


掌部分の黒い素材です。

この素材、初めて耳にされた方も多いと思いますが、それもそのはず。

この素材は釣り具業界ではPazdesignのみの独占採用で、その他のプロスポーツ選手用で採用されている際は特に決まった名称がありません。

このグリップ素材を作っている工場の社長さんが本当に職人気質な方で、『別に名前で性能が変わる訳じゃねぇんだから、名前なんか無いから、付けたかったら好きに付けていいよ』って事で『New Power Grip』と命名させていただきました(笑)

このニューパワーグリップですが、現在、Pazdesignの全てのグローブに採用されています。
※カイロポケット手甲を除く。

その最大の特徴は『濡れるほどにグリップ力が増す』事です。

一般的なグリップ素材であるシリコン、ゴム、合皮等々と違い、濡れた事でグリップ力の低下が起こることはありません。
むしろグリップ力がアップします。


魚のヌルも問題なし!!

その秘密はニューパワーグリップの作り方にあります。

ニューパワーグリップは織物に特殊なグリップ素材を含浸させて(含ませて)作っています。

完全によくわからない説明なので掘り下げていきますと、まず『織物』というのは糸を縦横に『織って』作ってある布地のことです。

この織物の特徴は糸を縦横に規則正しく織ってあるので、繊維の目が均一になっていて、強度も安定します。
ワイシャツなんかを想像してもらうとわかりやすいですかね。
繊維の目があるので通気性(簡単にいうと風通しがいい)もあります。

で、この織物に特殊なグリップ素材を含浸させるわけですが、ではそれで『何故濡れるとグリップ力が増すのか?』という事になるわけです。

それには逆に『何故濡れるとグリップ力が落ちるのか?』を考える必要があります。

シリコンやゴムのグリップ素材は水を含みませんよね?
むしろ防水素材ですよね?

とうことは濡れたグローブでロッドを持った時、その水分はどこにも吸収されずグリップ素材とロッド間に存在します。
そうすると滑るわけです。

タイヤを想像して下さい。
溝の無いツルツルのタイヤで濡れた路面を走るとどうなりますか?
タイヤはゴムですよね?

そういうことです。

ニューパワーグリップは織物ですから、繊維の目から水分が抜けていきます。
最新の道路なんかで雨が降っても水溜りができない道路がありますが、そんな感じのイメージです。

これに加え、含浸させてある特殊グリップ素材には中にグリップする粒子が含まれています。
(目に見えないくらいの小さいやつです。)

普段もこの粒子のお陰でかなりのグリップ力ですが、水分が繊維の目から抜けていく時に毛細管現象により、このグリップ粒子が表面に浮き上ってくるのです。

これが『濡れるほどにグリップ力が増す』仕組みです。

ニューパワーグリップは『グリップする事へのアプローチ』そのものが他のグリップ素材とは全く違うのです。

Pazdesignテスター陣も弊社製品を使って一番驚くのはこのグローブのグリップ力です。


テスター・河野さんのグローブ紹介記事

確かなグリップ力は釣行時のストレスを軽減するだけでなく、ロッド操作の精度が上がるので、キャスト精度もアップします。

『グローブをする事で釣りが上手くなる』

そんなグローブです。
※効果効能は個人差があります。

現在では0.7mm厚のノーマルに加え、0.2mm厚の極薄高感度のライトゲーム専用モデルも用意しています。

『グローブは感度が落ちるから…』と思っている方、是非、一度0.2mm厚を使ってみて下さい。

驚くこと間違いなしです。

ちなみに現在の夏用(3シーズン向け)ラインナップは


SLG-014 5フィンガーレスグローブSP
掌側全面グリップのハイエンドモデル。
掌の全ての部分でグリップするので、安心感は抜群です。


PGV-024 5フィンガーレスクールドライグローブ
人工皮革アマーラにニューパワーグリップを部分的に配置したモデル。
グリップは位置はテストを重ね最適な位置に。
全面タイプよりもグリップできる部分は減るものの、アマーラ部分が肌馴染みがよく、着け心地の良いモデル。


PGV-029 センサータッチクールグローブ(廃盤)
掌側に0.2mm厚のニューパワーグリップを採用した、極薄高感度モデル。ライトゲームや渓流、ブラックバスにオススメ。


SLG-013 オフショアグローブSP
オフショア用フルフィンガーモデル。
ロッドアクションの変化も対応する全面グリップ仕様。
人差し指と親指は人工皮革アマーラ。


PGV-033 オフショアグローブ・レザー
オフショア用フルフィンガータイプで、人工皮革アマーラにニューパワーグリップを部分的に配置したモデル。
親指と人差し指には感度と滑らかさが特徴のカンガルーレザー使用。


PGV-025 アルティメットG-1S
フィット感と操作感が抜群のキャスティングゲーム専用モデル。
ニューパワーグリップは掌と小指、薬指、中指先端に部分配置。
部分的にあえて滑りの良い素材を使い、グリップ力とキャストしやすさのバランスが秀逸なモデル。

是非、今年はニューパワーグリップの性能をご体感下さい。

それでは今日はこの辺で。

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ウェアの基礎知識講座⑤『復活の儀式 第2章 ~撥水復活~』

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座⑤です。

前回はレインウェアの洗濯方法についてお話しましたが、今日はいよいよお待ちかね…

『撥水復活の儀式』です!!

という事で実際に撥水を復活させていきましょう。

とりあえずまずは前回の流れで洗濯までやって下さい。
※前回のログ

そして洗濯・すすぎが終りましたら、いよいよ『撥水復活の儀式』です。

が、ここでお知らせ。

撥水復活に使ういわゆる撥水剤にはいくつか種類があります。
なのでまずはそちらを簡単な説明と共にご紹介します。


ZAC-952 リバイベックス インスタントウォータープルーフィング 1600円
※製品ページはこちら。

いわゆる撥水スプレーです。乾いているウェアに対して使用します。
熱加工しなくても撥水が定着しやすいのがリバイベックスの撥水スプレーの特徴です。
手軽ですが漬け込みタイプに比べてムラになりやすいのと、やっぱり熱処理した方が撥水の効果は高いです。

ZAC-956 デュラブルウォーターリペレント
2000円※製品ページはこちら

こちらはスプレーオンと呼ばれるタイプです。
霧吹きで撥水剤を吹き付けるタイプで、洗濯後濡れた状態で使用します。
熱処理無しでも使用可能ですが、熱処理を加えれば漬け込みタイプ同等の撥水効果を発揮します。
ムラになりやすいのはエアゾールタイプと同様です。

個人的には最近日頃のお手入れで一番良く使っており、その理由は『洗ったついでに手軽に使用できるから』です。
撥水スプレーは乾かさないと使えないので、洗って時間が経ってからしか使用できません。
なので、帰宅後のテンション高めの状態で洗ったついでに撥水処理ができるこのタイプを使う事が多くなりました。

そして上記2つのスプレータイプ共通の特徴として外側だけに撥水処理を施すので、中綿等が入っている防寒着に使用する際も中の素材に影響を与えず使用する事が出来ます。

そしてラストは


ZAC-951 リバイベックス ウォッシュインウォータープルーフィング
※製品ページはこちら

こちらもお馴染み漬け込みタイプです。
洗濯後のウェアを漬け込んで使用するのでムラなく仕上がります。
多少面倒ですが漬け込み後に熱処理が必要なタイプです。
しかし、仕上がりは抜群ですので本格的に撥水復活をさせるならこれがオススメです。
また、リバイベックスはフッ素を使用していないので、健康面・環境面に配慮した撥水剤です。

現在、弊社ではこの3種類の撥水剤を取り扱っています。

今回は最後にご紹介した、漬け込みタイプの『ウォッシュインウォータープルーフィング』での復活の儀式をやってみましょう。

と、意気込んでみたものの流石ウェアメーカー、どのウェアもバッチリ撥水が効いていたので復活させる必要なし…w

なので、私の通勤着である某アウトドアメーカーの10年物の2レイヤーレインで復活の儀式を行います(笑)

まず、プロクリーナーで洗濯したウェアを撥水剤を入れたタライの中に漬け込みます。

今はタライでやってますが、洗濯機でも出来ますし、奥様などから洗濯機の使用許可がでず、タライもない場合は浴槽(使用できる素材かどうかはご確認下さい。)等でも漬け込み可能です。
さらに浴槽も許可が出ない場合の個人的なオススメは『クーラーボックス』です。30L以上のものがオススメです。
これなら誰にも文句は言われないと思いますw

漬け込む水の量は『ウェアが浸る程度』でOKです。
明確に何Lとかはありません。

撥水剤の量は通常はジャケット1着で付属のキャップ4杯分が目安です。
大きいサイズのジャケットは4~9杯の間で調整して下さい。

撥水剤を入れたら洗濯機の場合は10分間回して下さい。
この場合、ウェアはネットに入れ、すすぎはしないで下さい。

手作業の場合はムラにならないようにしっかりかき混ぜて、そのまま10分~1時間程度漬け置きます。

そして漬け込みが済んだら形を整え、ハンガー等に掛けて水が滴らないくらいまで陰干しします。
(完全に乾かさなくてもOKです。)

水が滴らなくなったら熱処理を行うんですが、その方法が

・乾燥機にて中温で40~60分
・当て布してアイロンの中温で
・ドライヤーの温風

が代表的な熱処理方法です。

一番楽でムラなく仕上がるのは乾燥機での熱処理です。
乾燥機に入れて中温に設定して40~60分回せば出来上がり。
基本的にこのやり方を推奨している場合がほとんどです。

次は当て布してアイロン。
洗濯機、乾燥機が使用できないタイプのウェアの熱処理や乾燥機が無い場合に向いてます。


実際にやるとこんな感じです。​

注意としては80℃~120℃でサッと撫でるようにアイロン掛けすること。
当て布をしても長い時間アイロンを当てていると表地のナイロンが溶けたりしますので、あくまでサッと撫でるようにやって下さい。

そして最後はドライヤーの温風。
これはアイロン使用禁止のウェアの熱処理に。
ただ、時間掛かるしムラも出るので基本あんまりやらないです。

前回のログで少し触れましたが、アイロン使用禁止の洗濯表示があっても撥水定着の時はアイロンを使用する事があります。

これは表現が難しいんですが、アイロン使用禁止の洗濯表示はあくまで、一般的なアイロン掛けが禁止という事です。

さっきも言った通り、アイロンは当て布してサッと撫でるだけなので表地が溶けたり生地が痛む温度にならないように使う形になります。

撥水定着の為のアイロン使用は、ある程度の熱を加える事ができればそれでいいので、洗濯表示に従わずにアイロンを使用しています。

ただ、ここは一応自己責任になる部分ですので、気になる方はドライヤーの温風を使用していただいた方が良いと思います。

ただ、もう一度言いますが基本的には乾燥機が一番オススメです。

という事で今回は乾燥機で60分。
出来上がってきたウェアに水を掛けてみると…

ほら、この通り復活です。

洗濯から撥水復活までトータル大体2時間くらいでできました。
洗濯機と乾燥機が使える状態であれば、かなり手軽でアッと言う間に出来上がります。

ちなみにこの作業、登山で使う方などは使用する度に行われてます。

ということで『撥水復活の儀式』いかがでしたでしょうか?

次回は『ウェーダーの透湿の謎と撥水の関係性』についてお話します。

それでは今日はこの辺で。

 

 

 

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