皆様こんにちは!!
コジマです。
本日はウェアの基礎知識講座⑩です。
今回は『レイヤーって何だ?』をお送りします。
この講座だけでなくウェアの話にの際に良く出てくる『レイヤー』と言う言葉。
『3レイヤー』とか『2レイヤー』とか、そんな感じの言葉って耳にしたり見たことあるかと思います。
ぶっちゃけ、『これって何だ?』って思いませんか?
私も正直この会社入るまでは『???』って感じでした。
カタログとか見てもサラッとしてか書いてなかったりしますしね。
実はこの『レイヤー』、レインウェアの性格を決める非常に重要な言葉!!
そんな『レイヤー』のご説明をしていきます。
まず、以前にお話しましたがレインウェアに使用しているメンブレン(防水透湿膜)はそれ単体でウェアにすることはできません。
※その記事はこちら。
メンブレンを使用したウェアにするには、これに『表地』と『裏地』、『裏地に準ずるもの』と一緒に加工(基本はラミネート)する必要があります。
要はメンブレンそのものに傷が入らないように保護する必要があるわけです。
その際にメンブレンと表地、裏地を加工する際の『枚数』が『レイヤー』という事になります。
ここからは実際のレイヤーの種類と共に説明していきます。
先程も言った通り、『加工する枚数』が『レイヤーの種類』にあたる訳ですが、そのレイヤーの種類は現在『5レイヤー』、『3レイヤー』、『2.5レイヤー』※名称の違いあり、『2レイヤー』の主に5種類が使われています。
レイヤーの前の数字は加工に使用している枚数ですね。
で、このレイヤーにより出来上がったウェアの特徴がそれぞれ違う訳です。
ということで、絵を交えながら特徴を説明していきます。
(説明のしやすい順番で書いていきます)
・3レイヤー
表地、メンブレン、裏地の3枚を一緒にラミネートした生地。
この生地単一でウェアに加工可能。
長所
・耐久性、耐水圧、透湿性が高い
短所
・出来上がりの生地が硬く重い
・高価
レインウェアの基本でありながら、耐久性、耐水圧の高さもありハイエンドクラスで使用される事が多い。
2レイヤーや2.5レイヤーに比べると生地は硬く、重くなるがハードな仕様を想定するならば断然3レイヤー。
・2レイヤー
表地、メンブレンの2枚を一緒にラミネートした生地。
この生地単一ではウェアに加工不可能。
長所
・出来上がりの生地が柔らかく軽い(生地のみの状態)
・安価
短所
・耐久性、耐水圧、透湿性が低い
2レイヤーは出来上がりの生地の柔らかさから着心地が良い。
また3レイヤーに比べると安価なので、エントリーモデル等に使用されることも多い。
アウトドアブランドであればタウンユース仕様に採用してある事も多い。
耐久性、耐水圧は3レイヤー程高くないのハードな使用には向かない。
・2.5レイヤー
2レイヤーの生地の裏に特殊加工を施すことで裏地を使わずに単体で使用が可能な生地。
長所
・出来上がりの生地が柔らかくて軽い
※生地のみ場合は2レイヤーと3レイヤーの中間ですが、製品になった場合は裏地を使わなくていい2.5レイヤーが一番柔らかく、軽くなることもあります。
・携行性に優れる
短所
・耐久性、耐水圧、透湿性が低い(3レイヤーと比べて)
特徴的には3レイヤーと2.レイヤーの中間ですが、2.5レイヤーの最大の特徴は軽さと携行性。
裏地がなくても単一の生地で使用できるので、製品として非常に軽く、柔らかく仕上げる事が可能。
また、非常にコンパクトに収納可能です。
その特徴を活かし、遠征の際の荷物の中に入れておくと突然の雨や冷え込みの時に安心です。
※2.5レイヤーとパックライト
ゴアテックスのラインナップに『PACLITE(パックライト)』というプロダクトがあります。
このパックライトも2レイヤーに特殊加工を施してあるので『2.5レイヤー』と呼ばれている場面を良く見かけますが、ゴアテックス社の見解としては『別物』です。
ただ、性能差は別として特徴としては2.5レイヤーの特徴とほぼ同じように考えていただいて大丈夫だと思います。
・5レイヤー
3レイヤーの上にさらにメンブレンと表地を重ねてラミネートした生地。
この生地単一でウェアに加工可能。
長所
・耐久性、耐水圧が高い(特にピンホール等の外的要因への耐久性)
短所
・出来上がりの生地が硬く重い
・高価
重ねてある枚数からも高い耐久性が特徴。
ただ、生地が硬く重いので着心地は良くない。また、製品としても高額になる。
ウェーダーに採用される事の多かった生地だが、最近は着心地の悪さと高額になる事から使用しているモデルは少ない。
また、生地が硬いのでピンホール等の外傷には強いが、硬い生地が原因で特に表地側に『角』が発生しやすく、そこが擦れて漏水の原因になりやすいので注意が必要。
※『角』の説明はこちら。
と言う感じです。
極端的に書くと以下の通りです。
※全て製品としてではなく生地としての比較
・耐水圧・耐久性
5レイヤー>3レイヤー>2.5レイヤー>2レイヤー
・軽さ・柔らかさ
2レイヤー>2.5レイヤー>3レイヤー>5レイヤー
・価格(高い順)
5レイヤー>3レイヤー>2.5レイヤー>2レイヤー
ね、レイヤーって結構大事でしょ?
この特徴を踏まえてウェアという製品に仕上げていく訳です。
耐久性重視か着心地重視か、はたまたコスパ重視か。
これ、実はよくご質問いただく『レインウェアの価格差』の一因になってるんですよ。
特に良くご質問いただくのが『ゴアテックス』について。
弊社も以前ゴアテックスを扱っていましたので『同じゴアなのになんでこんなに値段が違うの?』という質問は本当に多く頂いてました。
でもどこを見てもそこを言及している事は少なく、わかりにくいままでした。
ゴアテックスに限らずほとんどの場合が、同じメンブレンを使っていれば値段が違ってもメンブレンの性能は一緒です。
違うのは加工方法とファスナーや袖口等の細かな部分の仕様。
ここはメーカーによって考えが変わる部分ですが、例えばですけど、低価格帯を狙った2レイヤーの製品に高価な防水ファスナーなんかは使わない事がほとんどです。
もともと耐水圧も耐久性も低い2レイヤーに3レイヤー同等の防水性を求めるのは、2レイヤーの魅力である『低価格』、『着心地の良さ』を打ち消してしまう事になります。
全てが適材適所。
さらに言えば、ラミネートする表地の素材や硬さ、デニール等々の要因で同じレイヤーでも硬さや耐久性が変わります。
一つのプロダクトを仕上げる為には様々な条件や目的の中から生地や仕様を選んで組み合わせていくわけです。
と言う感じで、レイヤーのお話でした。
次回は『じゃあ私はどのレインウェア選べばいいの?』をお送り致します。
それでは今日はこの辺で。
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