皆様こんにちは!!
コジマです。
前回からスタートしました『ウェアの基礎知識講座』。
第一回目『レインウェアって何?』はこちら
第二回目の今回は『撥水と防水』について。
今回こちらをテーマに選んだ理由は、『撥水と防水』を正しく理解していただく事が今後のお話をスムーズに進める為の重要事項だからです。
※『耐水』という言葉もありますが、ここでは釣り具用ウェアで一般的に広く使われる『防水』という言葉で話を進めます。
『撥水と防水』。
言葉の響き的にも字面的にも良く似ていますが、実はまったく別のお話です。
こちらの言葉そのものの意味は…
撥水:布、紙などが表面で水を弾く事。
防水:水の浸入を防ぐ事。
説明が簡単過ぎてわかりにくいですが注目する部分は、『(水を)弾く事』と『(水の)浸入を防ぐ事』という部分です。
つまり、すご~く乱暴に言うと『撥水』は『水は弾く。でも水が浸入しないとは言ってない』という事であって、『防水』は『水は浸入しないけど、弾くかどうかは別問題』という事です。
わかりにくいですね~w
特に撥水はその効果の結果、水が浸入しない事もあるので防水と混同してしまう事が多くあります。
ここからはもっとわかりやすく説明していきます。
前回登場したメンブレン(防水透湿膜)やPU(ポリウレタン)、ゴム、PVCなんかは『防水』であり、そのもの自体が水の浸入を防いでいます。
大袈裟に言えば、この防水性能は素材に傷が入ったり、穴が開いたりしない限りは維持できますので、水が浸入する事はありません。
※耐水圧等の条件は無視して話しています。
また洗濯や汚れによって『防水』性能が低下する事もありません。
※洗濯や汚れによる生地の劣化は無視して話しています。
次に『撥水』です。
ウェアにおいての撥水は基本的に『撥水加工』の事になります。
『加工』と言う言葉からもわかる通り、撥水は紙や布、布もナイロンやコットン等々、定着しやすいしにくいの差はあれど色々な物に施す事ができます。
その仕組みは詳細に話すと科学的な本1冊書ける位の難しい話なので、簡単に説明します。
撥水とは『撥水基』という微細な分子が布等の上にびっしりと敷き詰められ、『撥水層』を作り出すことにより起こります。
この撥水基に水が触れた際に、水の表面張力を利用して水の浸入を防いで(弾いて)います。
つまり撥水加工は基本後付けです。
そして撥水加工は摩擦や汚れで撥水基が倒れてしまうと、その効果を失います。
効果を失うと、加工が施されている物自体は防水とは限りませんので水が浸入してきます。
また、効果が失われていなくても、大量の水にさらされたり、水中に長い時間置いておくと水が浸入してくる事もあります。
これから撥水と防水の違いのとてもわかりやすい例を挙げます。
皆様のレインウェア、最初は雨が降っても水を弾いていたのに、使っていくうちに弾かなくなり、雨が降ると表地に水が染み込み表面の色が変わる程になってしまう。
こんな事はありませんか?
これ、まさに撥水加工の効果が切れている状態です。
撥水が切れているので、表地のナイロンが水を吸って濡れてしまい、表面の色が変わってしまいます。
でもですね、この状態で雨は内部に浸入してきますか?
してこないですよね。
つまり防水性能は変わってないという事です。
おわかりいただけましたでしょうか?
撥水と防水は全く別物なんです!!
余談ですがよく『防水スプレー』という文字を目にしますが、ほとんどの場合『撥水スプレー』が正解です。
靴や革製品に使っても水は弾くけれども、それそのものは防水にはなりませんよね?
撥水の強弱や持続性に差があり、一時的に水が浸入しなくなるかもしれませんが、撥水は撥水です。
さて、先程全く別物と申しました撥水と防水。
ウェアを快適に着ていただくにはとても密接な関係であります。
別物だけど無関係ではない。
これも『撥水と防水』の関係性です。
今日も長くなってしまったので、この話はまた次回という事で。
それでは今日はこの辺で。
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