ウェアの基礎知識講座⑫『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その①~』

 

皆様こんにちは!!
コジマです。

本日はウェアの基礎知識講座⑫です。
今回は『徹底解説!!エイガードのアレコレ!!~その1~』をお送りします。

前回までの内容とガラッと変わりますが、近年その被害報告も増え、だいぶ着用への意識が高まってきた『エイガード』に関してインナーソックスタイプのパイオニアである弊社が徹底解説致します。

今回はエイガードが必要な理由とレイガードの防御の仕組みをご説明します。


SAC-029 レイガードⅡ
価格:56000円+税
素材:スペクトラ繊維
製品ページはこちら

(弊社の正式商品名はエイガードではなく『レイガード』です)

何回かに渡って解説していきますが、まず皆様にお伝えしたいしたい事は

絶対に着用して下さい!!!!
何より無防備でウェーディングすることは絶対避けて欲しい!!!!

という事です。

解説の中で素材の違いや価格の違いを説明していきますが、いずれもインナータイプのエイガードは割りと高価です。
弊社のタイプにいたってはハイエンドクラスのロッドやリールと変わらないくらいの金額です。

ただ、弊社のモデルに限らず『高いから着用しない』という流れだけは避けていただきたいんです。

現在市場には様々メリット・デメリットはあるものの、様々な種類の『エイガード』が存在します。
割と安価なモデルもあります。

被害の軽減と言う部分を考えれば、とにかく着用していただく事が大前提です。

高額になる理由や素材による価格、性能差は後々説明しますが、フローティングベスト同様に安全対策の一環としてウェーディングを楽しむ皆様には絶対に着用していただきたいと思っています。

安全面もですが、『釣りしててエイに刺されたんでしばらく会社休みます』って言えないでしょ?

ということで解説に入っていきましょう。

まずですね、そもそも何故エイガード(話を進めやすいのでこの名前で進めていきます)が必要なのか?

ウェーディングできる釣り場、特に干潟や河口部には『アカエイ』が多く生息しています。
このアカエイは尻尾に毒針を持っており、これで攻撃する事で餌を獲ったり自分の身を守っています。

簡潔に言えばこの毒針の威力がハンパないんです。

この映像を見て下さい。

実際にアカエイから採取した毒針を弊社のウェーダーのラバーブーツに刺している映像ですが、いとも簡単に貫通しています。

しかもこの針はノコギリ状になっており、刺されればその傷の断面がガタガタになるので治りも遅いです。
(ネットで『エイ 毒針』と検索すれば画像が出てきますので気になる方は検索してみて下さい)

ちなみに刺されるとこんな感じになります。

そして何より厄介なのが、この画像にも書いてある通りこの針には『毒』が含まれており、それが傷の直りを更に遅くするだけではなく、アナフィラキシーショック等により重篤な症状、最悪死に至る事もあるという事です。

また、刺された際の痛みは『焼いた五寸釘をグリグリとねじ込まれるような痛み』と形容され、その痛みの為に刺された時に痛みのショックで失神する方もいるようです。

実際にイベントで聞いた話は、『多摩川の河口でウェーディング中に、少し離れてた場所でやってる人がしゃがんだまま2~30分動かないから見に行ったら、エイに刺されて失神していた。』なんて話もありました。

失神したまま潮が満ちてきたら…

だいぶ恐怖ですね…

刺された際の傷もエイの大きさや刺される場所にもよりますが、刺され所が悪いとアキレス腱や靭帯を損傷する事もあります。

これまた実際に刺された方の話だと、その方は茨城の那珂川の河口で刺され、針がふくらはぎ下部を貫通(横方向に)したそうです。

この方の場合、まず完全に血が止まるまでに2週間。(押すとジワジワと血と膿がでる。)
傷口が塞がるのに1ヵ月。
完治までに1年を要したそうです。

ノコギリ状の毒針で刺されると、傷口も荒れ、おまけに毒の影響で本当に治るのに時間が掛かるそうです。

という事で、安心して釣りをする為にはこの毒針からの防衛策が必要になるわけです。

で、今回はこのエイガードが毒針を防いでいる仕組みを解説します。

良くエイガードは、鉄板のように毒針の攻撃をカキーンっと弾き返しているとイメージされている事が多いんですが…

そうではありません。

レイガード(ここからは弊社製品のお話です)は『スペクトラ』という繊維で出来ています。
この繊維は『高強度ポリエチレン』という素材で、極々簡単に説明すると、メチャメチャ強い繊維です。
(素材の特性等の詳しいお話は次回以降で)

ちなみに、このスペクトラ繊維は防弾チョッキや耐刃素材として工業用・作業用グローブとして使用されています。
(防弾チョッキとかは糸の太さも生地を重ねる枚数もレイガードの比ではないくらいに多いですが)

で、レイガードⅡ(Ⅰもです)はその繊維で作った織物です。

要は普通の織物なんかと作りはほぼ同じですが、その糸がメチャメチャ強いと言う訳です。

刃物が布に進入していく時、下の画像のような状態から刃物が繊維を切り裂きながら進入していきます。

この時、繊維が強靭で切り裂かれないと刃物の進入はここで止まります。

それがレイガードの防御の仕組みです。
(防弾チョッキなんかの仕組みもこう言う事です。跳ね返しているのではなく、強靭な繊維との摩擦で進入を防いでいます)

ただ、ここでご注意頂きたいのは良く見ると刃の先端部分出ていますよね?
織物なので『目』がありますので、目より刃物が細ければ正直こういう状態になってしまう事は無きにしもあらずです。
(例えば縫い針は貫通します。)

ただ、エイの針よりレイガードの目が大きいということはほとんど無いと思います。

また、針の進入角度によっては少し切っ先(針先)が進入してしまう事はあります。
(進入角度が直角に近いほど進入する力が逃げにくいので、貫通力が増します。)
※スペクトラ以外の素材では劣化の可能性もありますが、それは次回以降で。

これが『100%の防御ではなく、被害の軽減』と表現している理由です。

とはいえ、弊社ではくるぶしより下の部分は2枚のスペクトラ繊維の生地目をクロスさせて重ねる事と、ふくらはぎ部分にスペクトラの樹脂板を入れることで可能な限り毒針が進入しにくいような作りにはしています。


黒いテープ部分からつま先よりが生地2重になってます。


ファスナーを開けると樹脂板が挿入されています。

千枚通しで思いっ切りレイガードだけを刺しても5~8mmくらいの進入で止まります。

と言う感じで、今回はエイガードが必要な理由とレイガードの防御の仕組みをご説明いたしました。

次回は『エイガードに使用されている素材の種類とその特性、価格差等について』をお送りしたいと思います。

長くなってきたので今日はこの辺で。

 

 

 

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